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肺がんは、気管、気管支、肺胞の細胞が正常の機能を失い、無秩序に増えることで発生します。細胞がなぜ癌化するのかはまだ詳しくわかっていません。
タバコの煙には20種類以上の発がん性科学物質が確認されています。毎日喫煙する人は非喫煙者に比べ約4.5倍の肺がんリスクがあります。
受動喫煙がある人は、ない人に比べ肺がんリスクが20〜30%高くなると推計されています。
アスベスト、シリカ、砒素、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガスなども肺がんリスク要因とされています。
罹患率、死亡率とも男性のほうが女性より高く、3〜4倍となっています。
罹患率、死亡率とも40代後半から増え、高齢になるほど高まります。
自覚症状が現れにくく、また多くは風邪の症状と似ているため、気づかずに放置されてしまうこともあります。40歳以上で喫煙歴のある方は注意が必要です。症状で多く見られるのは、咳や胸痛が続く、呼吸時のぜーぜー音(喘鳴:ぜんめい)、息切れ、血痰、声がれなどです。ほかにも肺がんの症状は多彩で、がんの種類によって異なります。
肺がんは組織型が多彩で多くの種類が存在しますが、「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」「小細胞がん」の4つが95%以上を占めています。これら組織型の違いによって、発生部位や症状、治療法が異なります。腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんの3つは、小細胞がんに対して非小細胞がんと呼ばれ、多くは外科手術による治療が選択されます。小細胞がんは、進行が速く、悪性度の高いがんですが、化学療法や放射線療法が効きやすいという特徴があります。
日本で発生頻度が最も高く、男性の肺がんの40%、女性の肺がんの70%以上を占めています。ほとんどが肺の末梢に発生し、胸部X線写真で発見されやすいのが特徴。血液の流れに乗って他の臓器に転移することが多いがんです。近年増加しています。
二番目に発生頻度の多い肺がんで、男性の肺がんの40%、女性の肺がんの15%を占めています。タバコと関係が深く、大部分は肺の入口に近い肺門部に発生します。がんが広がって気管支をふさぎ、呼吸困難やぜんそくのような症状をひきおこすことがあります。
発生頻度は全体の10%以下ですが、増殖が速く悪性度の高いがんです。
肺がん全体の10〜15%を占め、三番目に多い肺がんです。増殖が速く転移しやすいのが特徴で、発見された時には、ほとんどの場合リンパ節転移が見つかります。タバコを吸う人に多く、最も悪性度の高い肺がんです。
もっとも普及している検査が胸部X線検査です。無症状の肺がんを発見することもできますので、40歳以上の方は毎年受けるよう心がけましょう。しかし発生する部位・大きさによってはX線に写りにくいものもあり、近年はCT検査・PET検査による診断が増えています。さらに詳しい診断には細胞検査が必要です。通常は痰の中の細胞を顕微鏡で調べます。
痰で細胞検診ができない場合は、気管支鏡やファイバースコープを鼻か口から挿入し気管支の細胞をとり、顕微鏡で検査します(生検)。その際、咽頭部に局所麻酔を行います。外来で行われる検査ですので検査後数時間で帰宅できます。
穿刺(せんし)吸引細胞診は、肋骨の間などから細い針を刺し、細胞を取る検査です。気管支鏡が病巣まで届かなかった場合や採取された検体で確定診断されなかった場合に行われます。X線写真(CT)を使って行う「CTガイド下肺針生検」、肺の外側に水がたまっている場合に行う「胸水穿刺細胞診」、リンパ節に針を刺して細胞を採取する「リンパ節生検」などの方法があります。肺に針を刺すため危険性を伴い、合併症の恐れがあります。
禁煙することで肺がんリスクは減らすことができます。禁煙後10年で喫煙継続者に比べてリスクが1/3〜1/2まで減少するという報告もあります。
欧米や日本で、がんの中で最も死亡率が高く、死亡者数も増え続けています。肺がんの治療成績はこの10年で大きな進展がなく、肺がんのリスクが高いとされるタバコについても規制が進まないため、今後も増え続けるだろうと予測されています。