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大腸の壁は表面から、粘膜層・粘膜下層・固有筋層・漿膜層という4層から成っています。がんは表面の粘膜層から発生し、しばらくは粘膜内に留まりますが、やがて深層へ進行します。粘膜層・粘膜下層までのがんを早期がん、固有筋層より深く浸潤したがんを進行がんといいます。5年生存率は、早期がんで90%以上、進行がんでは、60〜70%になります。
早期がんの中でも、リンパ節転移の有無によって治療法が異なります。リンパ節転移の可能性がない場合は大腸内視鏡による腫瘍切除となります。リンパ節転移の可能性がある場合は、リンパ節郭清を伴った手術を行います。
腫瘍の大きさや部位によって異なりますが、主に、血便、腹痛、便秘、腹部膨満、体重減少、悪心、嘔吐、腹部にしこりが触れる、便が細くなるなどの症状があります。
大腸がんは他の消化器癌に比べて発育速度が遅く、比較的治癒しやすいがんといえます。肝転移や肺転移などの遠隔転移を伴う大腸がんの場合も、5年生存率が向上しています。
大腸進行がんでは、外科治療がもっとも有力です。外科治療では、基本的に治癒切除をめざします。治癒切除とは、外科手術によってがんの遺残のない状態にすることです。手術以外の治療法としては、化学療法、放射線療法、免疫療法、免疫化学療法などがありますが、これらの治療のみを行うことはあまりなく、手術と組み合わせて治癒をめざします。
粘膜内にとどまる早期がんでは、局所切除(腫瘍の存在する部分のみを切除する)か内視鏡的粘膜切除術(内視鏡的に腫瘍局所の粘膜を切除)が行われます。 リンパ節に転移がみられる結腸がんの場合は、近傍のリンパ節郭清の必要があります。リンパ節転移の範囲によって切除範囲が決まります。腫瘍を含む結腸を切除した後、結腸と結腸、あるいは小腸と結腸を縫い合わせて再建します。術後、大腸は短くなりますが、大きな機能障害が残ることはほとんどありません。
リンパ節転移のない早期がんでは、ポリープ摘除術や腫瘍摘除術が行われます。進行がんの場合は、リンパ節郭清を伴う切除を行います。切除術には、直腸切除術(肛門括約筋を残す場合)と直腸切断術(肛門括約筋とともに直腸を切除する場合)があります。
がんの予後に大きく関わってくるのが、血行性転移とリンパ節転移です。がんが血管やリンパ管に侵入し離れた臓器に転移します。血行性の場合は肝臓や肺など遠隔臓器に転移しますので、多くは手術を行いません。リンパ節転移の場合は範囲が限られているため、腫瘍を含む大腸の一部を切除することができます。