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膵がんは、原発腫瘍の大きさ、リンパ節への転移、遠隔転移、腹膜播種、肝転移などの段階によってI期からIV期までの病気(ステージ)に分類されます。
原発腫瘍が2cm以下で、膵臓の内部にとどまっている段階。
原発腫瘍が膵臓の内部にとどまっているが、大きさが2cm以上か、第一群のリンパ節転移がある場合。
原発腫瘍が膵臓の外に少し出ているが、リンパ節転移はないか第一群までに限られている場合。または、がんは膵臓の内部にとどまっているが、リンパ節転移が第二群まである場合。
原発腫瘍が膵臓の周囲の臓器・器官を巻き込んでいるか、離れた臓器まで転移がある場合。
膵がんは、予後の悪いがんのひとつです。進行した状態で発見される場合が多く、切除手術が適応される割合は50%以下です。I期、II期での切除例の場合5年生存率は約60%、35%で、切除例全体では5年生存率は15%程度となります。
膵がんでは、外科治療、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つが主な治療法です。このうちの1つ、もしくは組み合わせた治療(=集学的治療)が選択されます。 膵がんの治療の中心となるのが手術療法で、膵臓と周囲のリンパ節などを切除します。膵がんの発生する位置によって方法が異なります。技術や安全管理の向上により、膵がんの切除率は近年約40%まで伸びています。しかし膵がんは、手術後の予後の悪い癌のひとつで、術後早期の再発も多くみられます。
胃・十二指腸・胆嚢・総胆管まで合併切除を行う大手術で、切除後の膵臓、胆管、消化管の再建も必要です。膵がんに対して行う手術の2/3が、この膵頭部がんの切除術です。
細長い膵臓の尾部に腫瘍がある場合、膵臓の体尾部と脾臓を一緒に切除します。この手術では、切除後の消化管の再建は必要ありません。
膵臓の広い範囲にがんの浸潤がある場合などに行われます。膵臓のすべてを切除してしまうため、術後は外分泌(消化液をつくる)と内分泌(血糖を調節するホルモンをつくる)の両方の機能が失われます。栄養障害や血糖コントロール不良などによりQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の低下が問題となります。
切除不能な場合も、<1>消化管通過傷害に対する、胃と小腸のバイパス手術や、<2>閉鎖性黄疸に対する、胆管と小腸のバイパス手術が行うことがあります。
膵がんに対する放射線療法としては、X線を体の外から照射する体外照射や、手術中に腹部の中だけに照射する術中照射などがあります。また、抗がん剤を用いた化学療法と併用して行う放射線化学療法が行われる場合があります。
化学療法では、抗がん剤を使用します。投与方法は静脈注射が主ですが、経口抗がん剤を用いることもあります。膵がんに対しては、化学療法や放射線療法単独では治療成績はあまり期待できません。切除手術ができない場合や、外科療法の補助療法として化学療法が行われる場合もあります。
膵がんの転移が多くみられる部位は、リンパ節(約60%)、肝臓(約15%)、腹膜(約15%)などです。