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胃がんが発生する場所は、粘膜内の分泌細胞や分泌液の導管部分の細胞。正常粘膜からではなく、萎縮や炎症を起こしている粘膜から発生するとされています。胃粘膜は加齢とともに萎縮が起こりますが、胃の萎縮や胃炎、そしてヘリコバクター・ピロリ菌が、潰瘍や胃がんに関わっていると考えられています。
胃がんは、日本人にもっとも多く発症するがんです。罹患率・死亡率ともに男性のほうが女性より高く、40歳以降に増える傾向があります。死亡率は減少しています。
胃がんは、東アジア(中国、日本、韓国など)で多く、欧米では少ないがんです。日本国内では、東北地方や日本海に面した地域で発症率が高く、南九州、沖縄では低くなります。この地域差は、塩分摂取量に関係するといわれています。
胃がんは食塩が多い食品を好む人に多く発症します。また肉・魚のこげも、危険因子となります。反対に予防因子として、緑黄色野菜のカロチン類、ビタミンC、緑茶のカテキンなどが挙げられます。
胃がんになりやすい要因として、食生活の偏り(高塩分を好む、果物や生野菜をとらない)ピロリ菌に感染している、家族に胃がんが多い、萎縮性胃炎であるなどが関連づけられます。
ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する菌で、慢性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などに関与しています。胃がんの原因になりうる細菌ですが、感染した人すべてが胃がんになるわけではありません。
早期胃がんには特徴的な症状がありません。胃がんの多くは、胃潰瘍ができるため胸焼けや胃のむかつきがともなう人もいます。ほかに、消化不良、膨満感、食欲不振などが起こることもありますが、胃がん特有の症状ではないため、気づかないまま放置されることがあります。
胃壁は、内側から〈粘膜層・粘膜筋板・粘膜下層・筋層・漿膜下層・漿膜〉の6層から成ります。胃がんは粘膜から発生して漿膜へむかって浸潤していきます。早期胃がんは、まだ粘膜下層までにとどまっているものをいいます。他の臓器への転移や、リンパ節転移がほとんどなく、予後のいいがんです。早期胃がんは特有の自覚症状がありませんので、定期検診による発見が大事です。
胃壁を構成している6層〈粘膜層・粘膜筋板・粘膜下層・筋層・漿膜下層・漿膜〉の筋層より深く進行したがんをいいます。進行胃がんにも様々な症状がありますが、一般的に深く進行するほどリンパ節転移の確率が高くなるといえます。
バリウムを用いたX線検査が一般的ですが、最近では内視鏡検査が増えています。X線検査では見つかりにくい胃上部がんなど、見逃しが少ないといわれています。
バリウム(造影剤)と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、胃の粘膜を観察する検査です。胃がんのほかにも、良性の潰瘍(かいよう)やポリープも見つけることができます。
内視鏡を口から挿入し、胃の粘膜を直接観察する検査です。がんが疑われる場合、粘膜の一部を採取し、顕微鏡による生検を行います。早期の胃がんでは、内視鏡で治療することも可能です。
胃がんと診断されたら、肝臓・肺などへの転移があるか、リンパ節転移があるか、などをCT検査で調べます。
血液検査で、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。この検査では、感染しているかどうかはわかりますが、胃がんの診断はできません。
早期に見つかった胃がんの場合、治癒率は90%以上です。定期検診による早期発見が貢献し、死亡率は低下しています。