検索
膵臓は、胃の後ろにある長さ20cmほどの臓器です。膵臓の働きには外分泌(消化液をつくる)と内分泌(血糖を調節するホルモンをつくる)の2つがあります。消化液=膵液は、肝臓から入ってくる胆汁と一緒に十二指腸へ流れます。ホルモン(インスリンやグルカゴン)は、血液の中に分泌されます。
膵臓にできるがんの90%以上が外分泌(消化液をつくる)関係の細胞から発生します。主に膵液を運ぶ膵管から発生し、膵管がんと呼ばれます。通常、膵がんといえば膵管がんのことをさします。内分泌細胞から発生するがんは、膵内分泌腫瘍と呼ばれていて、発生率は膵臓のがん全体の10%以下です。
発生率が低く、研究結果が限られていることから、膵がんの原因はまだよくわかっていません。
膵がんのリスクとなる病気に、急性膵炎、慢性膵炎、膵嚢胞、胆石症、糖尿病などがあげられます。生活習慣では、喫煙や肉食などが膵がんのリスクを高めると考えられています。
膵がんは日本で増えているがんのひとつです。死亡率は、1999年までの40年間で9.4倍に増加しています。また予後が悪く、早期に見つかりにくい〈難治がん〉です。
男性が、女性の1.7倍と高い傾向があります。
60歳ごろから増加し、高齢になるほど罹患率が高くなります。
国際的にみて、日本人の罹患率は高いレベルにあります。国内では、北日本での死亡率が高くなっています。
膵臓は、周囲を胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、脾臓などに囲まれているため、通常の腹部超音波検査やCT検査ではがんが見つかりにくい臓器です。検診などで膵臓の特殊検査が行われておらず、特徴的な症状もないため、早期発見が困難ながんです。
早期では、黄疸、腹痛がまれにみられますが、ほとんどは無症状です。早期発見は非常にむずかしいといえます。進行した膵がんの初発症状としては、腹痛、黄疸、食欲不振、腰背部痛などが多くおこります。末期では、激しい腹痛、体重減少、るいそう(やせ)が顕著です。食欲不振や腹水などもみられます。また上腹部などの非常に強い痛みが、膵がんの特徴の1つです。
腹部超音波検査、超音波内視鏡などで一般的な消化器の病気(胃炎・胃潰瘍・胆石)の有無を調べます。膵臓の異常がわかれば、次の段階として、X線CT、MRI、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)、血管造影、PET検査などを行います。