禁煙外来

禁煙外来の案内

喫煙は日本人の生活習慣による死亡原因の第1位であり、毎日300人以上の方が喫煙によって死亡しています。その内わけはがんによる死亡に加えて、心筋梗塞や心不全など心臓病や肺気腫などの呼吸器疾患が原因となる方も多く含まれています。

タバコには複数の発がん物質が含まれており、肺がんだけでなく膵癌、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんなど様々ながんの原因となります。また発がん性物質以外にも様々な有害物質が含まれており、代表的な有害物質であるニコチンは冠動脈(心臓の動脈)をはじめとする血管を痙攣する作用があり狭心症や下肢動脈の閉塞などを引き起こします。一酸化炭素は脳や運動機能を低下させます。
喫煙者は非喫煙者にくらべて健康寿命が短くなる、認知症になりやすくなるといったことも知られています。副流煙を吸うだけでも喫煙者と同様にがんなどで命を落とす可能性が高くなるだけでなく、小児の突然死などの原因にもなります。

しかし喫煙していた人でも一度禁煙すると、禁煙早期から咳・痰などの症状が改善し、様々な病気にかかるリスクが低下するという確固たるデータがあります。現在喫煙している方、ご家族に喫煙者がいる方には1日でも早い禁煙をお勧めします。

多くの喫煙者が体に害があることを知りながら喫煙をやめることができないでいるのには原因があります。タバコに含まれるニコチンを常習することによる身体的・精神的依存などがそうです。その禁煙のしにくさから誤った情報に左右され、加熱式タバコに代える、軽いタバコにする、本数を減らすという努力をされている方もいらっしゃいますが、これらの誤った方法では喫煙の害を取り除くことはできません。→【加熱式タバコ】に関する情報はこちら

喫煙の害を取り除く唯一の方法は禁煙です。専門家からのアドバイスをうけつつ必要に応じて禁煙補助薬を使用することで、禁煙の成功率が高まります。条件を満たせば保険診療が可能であり、金銭的にも禁煙すると大きなメリットがあります。当院では禁煙治療に精通したスタッフが、禁煙を希望する患者さんによりそって個別性のある指導を行いサポートしていきます。→【禁煙外来の流れ】についてはこちら

この機会にぜひ禁煙して、煙のない健康で素敵な生活を手に入れてみませんか。

受診方法

予約制です。
診療日:毎週月曜日、(1・3週) 土曜日
予約方法:必ず事前に電話連絡にて予約をお取り下さい。

TEL: 0742-35-11210742-35-1121(代) 
0742-35-22190742-35-2219(患者支援センター)
「禁煙外来を予約したい」とお伝えください

禁煙外来担当医

氏 名

辻󠄀本 大輔

役 職

循環器内科医長

出身大学

平成18年 関西医科大学卒

専 門

循環器内科

資格・認定医

  • ・日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
  • ・日本循環器学会循環器専門医
  • ・日本心血管インターベンション治療学会専門医
  • ・日本心臓リハビリテーション学会指導士
  • ・日本禁煙学会 禁煙サポーター

加熱式タバコについて

最近は以前から使用されてきた紙巻き式タバコだけでなく、加熱式タバコや電子タバコを使用している方も増えてきています。
アイコス、グロー、プルームテックは加熱式タバコに分類されます。紙巻きタバコはタバコの葉を燃焼させてその煙を吸い込みますが、加熱式タバコはタバコの葉を加熱しその蒸気のようなもの(エアロゾル)を吸い込みます。ただし加熱式タバコもまったく燃焼していないわけではなく低温加熱に伴う不完全燃焼によって生じる一酸化炭素も検出されています。

加熱式タバコには“紙巻きタバコと比べて有害物質が約90%減少している”といった宣伝文句が使用されていますが、これは少しでも害を減らしたいという喫煙者の気持ちにつけこんで偏った情報をのみを取り上げた非常に悪質な宣伝であり喫煙者を誤った方向に誘導する明確な意図があります。
もともと紙巻き式タバコには200種類以上の有害物質が含まれています。米国でのタバコの販売許可の権限を持つ米国食品医薬品局(FDA)はその中でも大事な有害物質93種類について報告するようにP社に求めましたが、P社はそのうちの40種類しかデータを提出していません。さらにそのうち9種類のみ有害物質が減少したことをもって“紙巻きタバコと比べて有害物質が約90%減少している”としています。
P社が報告しなかった物質について研究した論文では、残りのほぼすべての有害物質が紙巻きタバコよりも増加していたと報告しています。さらにそのうち22物質では3倍以上、7物質では10倍以上となっており、紙巻きタバコと比べて呼吸器疾患への有害性が強くなる可能性があることなどが指摘されていますし、そもそもP社が報告した物質の数値の信憑性についても疑問が持たれています。

紙巻きタバコも使用してすぐにがんになるわけではなく、数十年にわたる調査でようやく、能動喫煙・受動喫煙ともに有害であることが立証されました。新しいタバコである加熱式タバコの人体への有害性についても正確なデータがでるのは数年〜数十年先の事となり現時点でどの程度の有害性があるのかを断定することはできませんが、人体にとって有害であり従来の紙巻きタバコと同様にあつかうべきであるということで専門家の意見は一致しています。

繰り返しになりますが、喫煙の害を取り除く唯一の方法は禁煙です。ご自身やご家族の健康を気になさって加熱式タバコに変更された方はこの機会にぜひ禁煙について考えてみてください。

禁煙外来の流れ

保険診療で禁煙治療をうけるためには以下の条件を満たす必要があります。

禁煙外来は基本的なスケジュールが決められています。
初回診察時を起点として、2週間後、4週間後、8週間後、12週間後と3ヶ月間に計5回の受診が必要です。

禁煙外来は基本的なスケジュール

受診の際には喫煙に関するアンケート用紙などの記入、一酸化炭素測定(新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に当面の間、中止しております)、看護師による面談、主治医による診察があり必要に応じて処方箋を発行します。病院で処方ができる禁煙補助薬には飲み薬(チャンピックス)と貼付剤(ニコチネルTTS)があり、持病や状況によって使い分けを行います。(現在、飲み薬(チャンピックス)は世界的に流通停止のため処方が出来ません)
過去に保険診療で禁煙治療を受けられた方は1年が経過した場合には再度保険診療による禁煙治療を行うことができます。
禁煙治療の金額は患者さん自己負担額3割として8〜12週間で約13,000円〜20,000円(処方薬によって変わります)程度で、タバコを1日1箱吸う人の同期間のタバコ代は約24,000円〜36,000円でありタバコ代の約半分で治療ができる計算になります。

保険診療での禁煙治療終了後も治療継続を希望される場合には自由診療となり全額自己負担となります。

TDS(ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト)

印刷用

設問内容 はい いいえ
 1点   0点 
問1
自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
   
問2
禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
   
問3
禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
   
問4
禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか。(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
   
問5
問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
   
問6
重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
   
問7
タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
   
問8
タバコのために自分に精神的問題(注)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
   
問9
自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
   
問10
タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。
   
合計点数    

(注)禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。

日本循環器学会,日本肺癌学会,日本肺学会:禁煙治療のための標準手順書第3版(2008)