主要対象疾患、手術の説明 2

側方侵入腰椎椎体間固定術(XLIF)について

低侵襲手術の中でもXLIFは筋肉、背骨に手術侵襲を加えない画期的な方法です。
欧米では約15年前より導入されていますが、日本では2013年より承認され、現在のところ限られた医師、施設でのみ行われています。私は以前よりXLIFに注目しており2013年にアメリカでのトレーニングを経てただちに日本でこの術式を開始しすでに多くの手術実績があります。この手術の特徴は腰の神経の圧迫に対し直接背骨を削って取り除くのではなく、背骨の変形を矯正することにより間接的に神経の圧迫を軽減できるという点です。手術は胸腰部側方に約4cmの小切開を加え、専用の神経モニターシステムを用い神経をよけながら背骨、椎間板に到達し人工骨を挿入します。この手術により少ない出血量で神経の圧迫を軽減し背骨のずれや曲がりを矯正することができます。対象となる疾患は腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、再発ヘルニア、腰椎変性後側彎症、骨粗鬆症性椎体骨折後後弯変形などです。原則、手術翌日よりコルセットを着けて痛みに応じ、起立、歩行が可能です。ただし患者様の状態や背骨周辺の神経、血管の走行などによりこの術式が選択できない場合もありますので十分、術前に評価させていただきます。

加齢変化により背骨の椎間板(軟骨)の高さが減少し椎間板の膨隆、靭帯の肥厚、ゆるみなどにより脊柱管狭窄をきたします。傷んだ椎間板のかわりに人工骨を挿入し椎間板の高さを持ち上げることにより、直接神経に触ることなく椎間板や靭帯による神経の圧迫を軽減し神経症状を緩和します。また、この手技により腰曲がりなどの姿勢異常を改善することができます。

骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対する最新治療

骨粗鬆症性脊椎椎体骨折(圧迫骨折)は高齢の患者様に多い腰背部痛の大きな原因の一つです。コルセットや痛み止めで骨折が治るのを待ついわゆる保存療法が原則ですが、痛みが強かったり長引いたりする患者様の中には骨癒合が十分でなかったり、次第に骨折した背骨がつぶれてきて痛みの原因となっている場合も散見されます。最近の研究では画像診断により背骨の骨折の痛みが長引くかどうかがある程度予測できるようになっています。現在は手術手技の進歩と麻酔技術の進歩で、80代以降の患者様でも積極的に手術を受けられる時代です。痛みが長引く患者様で、できるだけ早く痛みから解放されたいと希望される方には骨セメントを使用した椎体形成術やXLIFの技術を応用した低侵襲椎体置換術にてできるだけはやく日常生活に戻れるお手伝いをしたいと思います。

圧迫骨折による痛みが長引いたり、骨折の治りが悪いと予測できる患者様に対し経皮的椎体形成術(BKP)(バルーンで椎体を膨らませてセメント注入する方法)を行っております。

背骨の圧迫骨折の中には骨のつぶれが進行し経皮的椎体形成術(BKP)では対応できないこともあります。そのような場合には、XLIFの技術を使用した低侵襲椎体置換術で痛みの軽減や姿勢の改善を目指します。

主要対象疾患 手術の説明1へ