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業務紹介 血液浄化業務
本院透析センタ−
●各血液浄化療法
HD、HDF(オンライン オフライン)、RRT、LDLアフェレーシス、エンドトキシン吸着、GCAP、LCAP、腹水濾過濃縮再静注法を医師、看護師と連携して行っています。
●緊急透析
夜間の緊急透析は、オンコール体制をとり、迅速に対応できるように努めています。
●SPP(皮膚組織灌流圧)測定
透析患者様の下肢動脈疾患の早期発見に役立っています。
●水質管理
当院では日本透析医学会の掲示する透析液水質基準2016に準じてエンドトキシンと生菌測定を行っております。エンドトキシンは0.001EU/ml未満(測定感度未満)、生菌数は0.1CFU/ml未満の超純粋透析液を担保し水質確保加算2を取得しています。エンドトキシンの測定には和光純薬社製トキシノメーターを使用しています。透析液を試薬に反応させ、エンドトキシンによる濁りによって光の透過量が一定の値になるまでの時間から濃度を測定します。生菌測定はPALL社製37mmクオリティモニターを使用しています。
日本透析医学会のガイドライン「透析液水質基準」
種類 | 細菌数 | エンドトキシン活性値 |
---|---|---|
超純粋透析液 | 細菌数0.1CFU/ml未満 | エンドトキシン0.001EU/ml (測定感度)未満 |
on-lne HDF用補充液 | 細菌数10−6CFU/ml未満 | エンドトキシン0.001EU/ml (測定感度)未満 |
※2016年版 透析液水質基準より抜粋
供給装置より透析液・補充液の採取
透析装置より透析液・補充液の採取
生菌培養検査
炎症物質(エンドトキシン)検査
水質検査の結果
<生菌検査の結果>
透析液・補充液に生菌がある場合は培地に汚染を認めます
当院の透析液・補充液では、汚染が見られません
●採血データー管理
ファイルメーカー、エクセルを使用して、P、Ca9分割表、spKt/V、クリアスペース率、nPCR、GNRI、%CGRなどから患者様のデータ管理を行っています。そして、これらのデータを基に患者様の透析時間、血流量、ダイアライザー交換などの検討を医師、看護師と連携を図りながら行っています。
当院使用のダイアライザーについて
ダイアライザーは平成28年度に行われた診療報酬改定により、Ia、Ib、Ua、Ub、S型へと分類されます。S型は特別な機能を持つものと定義され、他の4つはアルブミンふるい係数とβ2‐MGクリアランスにより分類されます。
図 平成28年度診療報酬改定後の機能分類基準
また、当院ではオンラインHDFを積極的に導入しています。オンラインHDFは専用のヘモダイアフィルター(血液透析濾過器)を使用しています。
●各装置の保守管理
各社指定講習会を受講した臨床工学技士が定期点検、部品交換を行い、常に安全な透析 治療を提供できるようにメンテナンスを行っています。
病棟透析、急性血液浄化療法は腎代替療法(RRT)に加え、各種アフェレーシス療法、腹水濾過濃縮再静注法(CART)などにも対応し、緊急時は24時間オンコール体制を取っています。
プラザ透析センタ−
プラザ透析センターはベッド数38床で、2016年8月より最新の日機装社製透析用監視装置(DCS-100NX)を導入し、すべてのベッドでオンラインHDFが可能となりました。透析スケジュールは月水金2クール、火木土1クール、夜間透析にて血液透析を行っています。また、透析通信システム フューチャーネットを導入することにより、中央管理システムにて透析中の経過及び患者様の情報を瞬時に把握することができます。
プラザ第2透析センター
プラザ第2透析センターは2015年3月に開設しました。特徴として、すべてのベットでオンラインHDFを行うことが出来ます。厳格な管理のもと、日本透析医学会の透析水質ガイドラインに従ってより良い透析治療を行えるように日々管理を行っています。また今回導入した日機装社製DCS-100NXD-FAS(Dialysis-Full Assist System)は、より安全な治療が行えるように最新のシステムが組み込まれています。プラザ第2透析センターはオンラインHDF治療を行うための環境が整っています。
西大寺クリニック透析センタ−
西大寺クリニック透析センタ−は2011年10月1日に開院し、病床数はベッド14床、チェア7床の21床でベッドとチェアの選択が可能です。透析通信システムFuture Net Web+を導入し、電子カルテと連携させることで情報を共有することができます。透析装置はオンラインHDF対応である日機装社製の多用途透析用監視装置DCS-100NXを使用し、2013年よりオンラインHDFを開始しています。
急性血液浄化療法
●腎代替療法( Renal Replacement Therapy:RRT)
RRTとは、全身炎症性症候群(SIRS)により、腎機能が著しく低下し、急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)に対する血液浄化療法です。当院では、集中治療室での治療の一環として、PMX-DHP(エンドトキシン吸着)をはじめ各種急性血液浄化療法に対応しています。
敗血症性ショックに対してPMX-DHP療法と
RRTによる、同時血液浄化療法
●LDL吸着療法(LDLアフェレーシス)業務
当院では下肢動脈疾患、家族性高コレステロール血症(FH)の患者様に対して、LDL吸着療法を行っています。下肢動脈疾患に対するLDL吸着療法は足の血流を改善することで、下肢の痛みや、潰瘍形成の治癒に効果が見られます。
また家族性高コレステロール血症,(FH)に対するLDL吸着療法は、動脈硬化を予防し、全身の血管病変の発症リスクを低減させると報告されています。当院臨床工学技士はこれらの患者様に対して医師と協力しながら、適切なアフェレーシス療法を提供させて頂いています。
LDLアフェレーシス治療前後におけるSPPを用いた下肢評価
下肢の画像及びSPP値
当院では下肢動脈血管形成術後、LDL-A前後でSPPを測定し、末梢循環の改善を評価しています。
●G-CAP、L-CAP療法業務
潰瘍性大腸炎に対する新しい治療として当院ではG-CAP、L-CAPを行っています。
また、院外施設と協力、連携をしながら患者様の受け入れを行っています。
●CART
難治性腹水症に腹水濾過濃縮再静注法(Cell-free and Concentrated AscitesReinfusion Therapy :CART)を導入しております。患者様の状態に合わせて、より安全にアルブミン生成を行い、病棟看護師と連携を取っています。
CARTのイメージ図
当院でのCART療法は専門技士が分離、濃縮を行い、直後に患者様に再静注しています。
旭化成メディカル腹水濾過濃縮のホームページに西の京病院が登録されています。
●リクセル
長期透析患者の合併症に透析アミロイド症という合併症があります。透析アミロイド症では関節の痛みや運動制限という症状が出現します。原因はβ2ミクログロブリンというタンパク質が原因で発症すると言われています。リクセルはそのβ2ミクログロブリンや炎症性物質を吸着により除去することで症状を改善もしくは軽減させることができる治療方法です。当センターでは、透析アミロイド症が強い患者様には、オンラインHDFとの併用療法を行っています。
●吸着型血液浄化器レオカーナ
当院では、血行再建術不適応な潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症(ASO)患者に対し吸着型血液浄化器レオカーナを行っています。レオカーナは、LDL及びフィブリノーゲンの吸着による下肢の血流改善を施し、難治性潰瘍を治療することを目的に使用しています。2021年3月に承認された新しい治療法です。
血液透析濾過療法
●オンラインHDF
オンラインHDFは高度に清浄化した透析液を補充液として用い、血液透析(HD)と血液濾過(HF)を合わせた血液浄化方法です。小分子溶質の除去に加え、中分子〜大分子溶質領域の効率的な除去が可能となります。長期透析の合併症であるアミロイドーシスの原因物質であるβ2-ミクログロブリンを積極的に取り除いて合併症を予防することができます。
2012年4月の血液透析濾過(HDF)の診療報酬の改訂により、オンラインHDFで治療を受ける患者が大幅に増加しています。
オンラインHDFとHDとの大きな違いは、大量の補充液を直接回路内に注入し血液を希釈します。希釈された血液はヘモダイアフィルターを通して置換液と老廃物を大量に除去し、血液を清浄します。当院では、4施設全ての施設でオンラインHDFを行っています。
オンラインHDFの効果
透析患者様の多くが経験する皮膚の痒みや関節痛、さらに心臓・脳血管障害などの合併症の原因と言われる血液中のβ2ミクログロブリンやα1ミクログロブリンの除去が従来の透析療法よりも効率が高く、最近これら合併症の発症を低下する可能性が報告されるようになりました。
※β2MG、α1MGの蓄積による合併症
- ・激しい皮膚の痒み
- ・関節痛
- ・脚のむずむず感 (レストレスレッグス 症候群)
- ・栄養状態の改善
- ・貧血の改善
- ・全身倦怠感
- ・透析中の低血圧
- ・動脈硬化の予防
- ・不眠の改善
当院透析センターでのオンラインHDFの効果です。臨床研究で掻痒感、下肢のつり、不眠、倦怠感、イライラ感で効果を認めました。